鳥津 康孝くずし鳥津 二代目店主

鳥津 康孝

醤油の入った「じゃこ天」を作ってみたい。そんな簡単な動機でした。
食品添加物不使用の「前略、八幡浜から。南伊予の塩でつくったじゃこ天です。」のギアを一つ上げるために選んだ調味料は醤油。
勿論、食品添加物不使用のもの。
しかし、どこを探してもシンプルな食品添加物不使用の醤油なんてみつからない。
取り敢えず、市販の醤油で練習を繰り返した。じゃこ天に醤油の液体を添加することは危険と隣り合わせ。
原料の「ほたるじゃこ」と塩を結着させる為には氷を投入して7度以下まで冷やさなければならない。
醤油を入れるということはその分氷を減らさなければならないということ。水分が多過ぎると食感が損なわれてしまうのだ。
簡単なようで非常に難問でした。時には醤油を凍らせたり煮詰めたり、試行錯誤の連続と失敗の繰り返し。
半ばあきらめかけたその時出会ったのが梶田商店の食品添加物不使用の「巽」濃口だった。
やっと出会えたという感謝の気持ちを気合いにかえて今一度「醤油入りじゃこ天」の試作を開始した。
『もう失敗なんてしていられない。作り切るんだ!』という気持ちで僕も全身全霊をかけて臨んだ。
「気持ちがのる」そんな不思議な感覚が商品を完成へと導いた。
「巽」との出会いが最初で、その後、若き13代目の梶田泰嗣君と必然的に出会うのです。
同じベクトルを持つ僕と彼の波長が合わないわけがない。
じゃこ天作りの変態と醤油作りの変態、「同じ匂いのする変態同士」と形容するほうがしっくりくる。
そんな変わり者二人の気合いがぶつかり合った「前略、八幡浜から。南伊予の醤油でつくったじゃこ天です。」を是非一度ご賞味ください。
断言します、このじゃこ天は「巽」濃口との出会いが無かったら完成していなかったでしょう。
梶田泰嗣君、これからも美味しい醤油を醸し続けてください。

鳥津 康孝

プロフィール

1963年生まれ。55歳くずし鳥津二代目。小学校の卒業文集に「将来は蒲鉾屋になる」と書き、大学を卒業してすぐ家業に就く。寡黙な職人肌の父の背中を見ながら職人としての心技体を学ぶ。39歳の時自分のじゃこ天を作りたいと思い、父に教わったじゃこ天作りの手法を引き算していった。そして一年間試行錯誤しながら、添加物無添加の塩だけで作った「前略、八幡浜から。南伊予の塩でつくったじゃこ天です。」を完成させた。その後、梶田商店の無添加丸大豆醤油「巽」をじゃこ天に使用した「前略、八幡浜から。南伊予の醤油でつくったじゃこ天です。」も完成。くずし鳥津の押しも押されぬ二枚看板となった。平成29年には「前略、八幡浜から。南伊予の塩でつくったじゃこ天です。」が「第59回全国蒲鉾品評会」揚げ物部門にて一位の「農林水産大臣賞」を受賞。次は「前略、八幡浜から。南伊予の醤油でつくったじゃこ天です。」の番だと日々研鑽に励んでいる。

受賞歴
第63回 全国蒲鉾品評会 富山知事賞 受賞第66回 全国蒲鉾品評会 水産庁長官賞 受賞第69回 全国蒲鉾品評会 農林水産大臣賞 受賞

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