やのひろみラジオ パーソナリティー

やのひろみ

大洲城がすぐそばにある殿町商店街のこの場所で、明治7年からずっと醤油を醸している梶田商店。この職人でないと出せない味が、今日もこの蔵で生きていると思うと「この時間」さえ愛おしい。
梶田泰嗣さんとやのは同じ年なもので、無理を言って蔵を見学させてもらったり、突然アポなしロケでふらっと訪ねたり(笑)仲良くさせてもらっているのだが、毎回毎回、驚きと発見があるし背中を押されるし刺激をもらえるし、その醤油愛ほとばしる人柄に心底惚れ込んで、梶田商店の醤油を常備するようになった。
名前にも想いを込め、醸造に年月をかけ、素材を吟味して、大豆へのリスペクトゆえに無駄なものは一切入れずシンプルに、醤油の声を聞き、香りや色や感触を確かめながら、珠玉の一滴が生み出される・・・そのことを知ってから、ますます梶田の醤油が好きになった。
まず、栓を開けて、小皿に注ぎ、鼈甲色の醤油を愛でる。ただただ美しい。そして、ゆっくりと口に運んだ時の大豆の甘みと深い旨み。いちいち「あ〜やっぱり旨いわ〜」と独り言ちる。ゴクゴク飲みたい想いを抑えられず、今や我が家で食す素麺や蕎麦は、梶田の醤油を水で薄めた「特製醤油タレ」で食べるようになったほどだ(笑)
梶田商店の醤油のまわりには不思議と、食材と真剣に向かい合っている人、食にこだわった人、それを発信するべくアクティブに動いている人・・・いろんな「佳い人」が集まってくる。
たかが醤油、されど醤油。
なぜ愛媛の小さな蔵が醸す醤油が、東京・大阪はもちろん、海外の一流料理人にも指名され使われているのか、その理由はぜひ醤油を味わって確かめていただきたい。

やのひろみ

プロフィール

1975年、愛媛県生まれ。
第47回ギャラクシー賞ラジオ部門「DJ・パーソナリティ賞」受賞(放送批評懇談会)。
NPO法人俳句甲子園実行委員会員。NPO法人国際地雷処理地域復興支援の会理事。

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