齊藤 有紀「愛ある食卓」代表

齊藤 有紀

「梶田商店」。
この名前を聞いたことがあっても、数年前、私の住まいの近くでは梶田さんの商品を扱っているお店はありませんでした。
そしてその頃の私は調味料というより今もメインで扱っている野菜のみ販売をしたり、それらを紹介するようなイベントなどの企画運営に携わりそれを生業としていました。
その頃は、買い物をするならここ!というようなお店は決まっていたものの、そこで目についたお醤油を選びながらも続けて購入することもなく、単純に裏側の原材料のラベルを見て「これならいいかな?」と。

そんな私が、梶田さんより先に出会うのは大阪にある「こんぶ土居」さんです。先に書いたいつも買い物をしているお店で興味が湧いて購入。真昆布との出会いです。
購入したのは真昆布と鰹のセパレートになっている出しパックです。私の扱う商品を購入してくださるほとんどのお客様は働き、そして子育てをしているお母様。この便利で安心な出しパックはきっと多くのお母さんの助けになる。そう思ってからすぐ、梶田さんの推薦者でもある八巻元子さん(元四季の味編集長)に紹介して頂き、大阪にあるこんぶ土居さんを尋ねました。

そこで、店主、土居さんのお話を聞き、出汁の引き方を教えてもらう際に聞いた「原材料の話」「添加物について」。とても熱心にお話して頂き、時には話の中ででた原材料や添加物までも試しながら、本当にこの先に残る「食」についての話を沢山伺いました。
そんな土居さんのお店に並んでいたのが、梶田商店さんのお醤油です。
「ここに並ぶ商品だから安心して食すことのできる、それでいて想いのあるものに違いない」
そう思いつつも、「今は取り扱う昆布についてもっと学ぶべき」だと、多くのことを同時に出来ない私は真昆布と鰹本枯節と土居さんの本を購入して帰宅します。

しかし、帰宅して復習の意味も込め、出汁を引いて料理を作れば作るほど気になるのは、合わせて使うお醤油。
調和しない。私の料理の腕なのか? 回数をこなしたおかげか、出汁の引き方は自分でも驚くほど上手になったと感じる反面、なんだか胸に引っかかるような味の違和感。
その意味がわかるようになったのは、手元にあるお醤油の生産者さんのHPを見た時でした。
「そうか!想いを伝える熱量の違いなんだ!!!」
そうなんです。もしかすると、この時に使っていたお醤油もまた生産者さんに会えば同じように想いを感じたかもしれません。
でも、「会いにいきたい」と思うような想いが生まれなかったのも事実です。
この味の違和感を無くして、もっとお料理を楽しみたい!そう思ってからの私の行動の早さは自分でも驚くほどです。

HPなど案内を見て、その商品の造りを知ることも大切ですが、私が一番気になるのはそれに対する想いです。

梶田さんの環境に配慮し、自然と共にある「ものづくり」の在り方。
地元産の材料にこだわったその想いや自身の経験。
読んで興味が湧いたことと、こんぶ土居さんを紹介して下さった八巻さんの梶田さんへの想いの先を知りたいとすぐに梶田さんのお醤油を購入し使ってみました。
ひとくち頂いて最初に思ったこと。
「あ、出会えた!」

この感情は今でも忘れられません。

良いと思って、誰かの助けになればと思って販売を始めた土居さんの昆布。
野菜は自信をもって「これと合わせたら楽しめます」とお客様にお伝えできます。
でも、お料理の幅を広げて楽しんで頂く為には、やっぱりその他の調味料が必要な時もあります。
醤油もそのひとつ。
でも、自信をもってお客様に薦める商品がないもどかしさ。
「あぁ、やっとお客様に話せる時がきた」
と、今、思い出しても涙が出てくるくらい嬉しく、そしてホッとしました。
毎日作り続ける料理。その度に感じていた自分の商売における足りなさ、情けなさ。
「よし、ここからだ!」と、その時には喜んでくださるであろうお客様の顔がもう浮かんでいました。

八巻さんのご紹介もあってお取引が始まり、のちに、梶田さんに実際にお会いした際、HPにあるその想いを深く伺うことになります。
地元の方に支えられてきたその感謝の返し方、手間と時間をかけるその製法を現在までも継承していく信頼できる職人さんたちのこと。
HPで見て想像していた世界をグッと近く感じました。そして、その後はお醤油を頂くたびに食物たちの育つ姿や蔵のこと。目の前に風景が広がるようでした。
そこからです。私の本当の「接客」が始まりました。

「梶田さんの想いを販売を通して伝えたい。」
その想いは私の想像をはるかに越えて広がりました。
今では、週に一度のマルシェにいらっしゃるお客様が醤油(や、お味噌)を使ったお料理の写真を見せてくださったり、それだけではなく「せっかくだから愛媛の野菜を使ってみたの」と楽しそうにお話してくださる方もいらっしゃいます。
マルシェの開催場所でもあり、販売場所であるMONKさん(飲食店/神奈川県辻堂)でも、お料理に使ってくださることによってお食事を楽しまれたお客様が帰りがけにご購入くださいます。
愛媛出身のお客様も増え、そんな方と地域食などのお話をしていれば、他のお客様も会話に加わりどんどん人の輪が広がります。

一番嬉しく思うのは「せっかく手をかけた造りのお醤油(や、お味噌)を使うんだから、お野菜も有機栽培のもので楽しむの」とおっしゃる人が増えたこと。
これはまた反対もあり、今まで有機栽培の野菜を購入してくださっていた方が同じように安心できる製造の梶田さんの商品を購入くださいます。
それだけではなく、遠方にあるご実家へのプレゼントにと発送したその後に、きっとネットでの発注に慣れていないであろう年代のお母様などから「同じものを送ってください」とお電話があったりすることも度々あります。
お野菜の生産者さんも楽しんでくださっていて、その話をすればまたお客様も喜んで同じ調理をして楽しんでくださいます。

「美味しかったから誰かにも楽しんでもらいたい」という想いのちから。それが沢山の方を繋げてくれました。
それは、当初の「楽しむ」ということ以外に、以前、梶田さんがお話をしてくれた「自然の持つちから」「私達、そして次世代が当たり前に過ごすことのできる環境」を考える人を増やし続けています。

きっと推薦者としては「味について」などそういったことを書かなくてはいけないのかもしれませんね。
でも、私がここで味についてを書き綴るより、こうして一つの調味料を通して、多くの方の「食」への意識が変わること、そして、その意識(想い)が広がっていくことの素晴らしさと大切さを多くの方に知ってもらいたいと思います。

梶田さんの「守り伝えるもの」の想いをお客様と共有し、それぞれが「守り伝える」。

今いる目の前の大切な方や、その先の方たちへと皆様と一緒に。

そんな想いを持つ多くの方たちを繋げていく梶田さんの商品をお薦めできる幸せに感謝ばかりです。

齊藤有紀

齊藤 有紀

プロフィール

「愛ある食卓」代表

アパレルメーカーの生産管理として天然素材を中心としたものづくりに携わる。

ライフスタイルショップの立ち上げから衣料品の生産管理、仕入れ業務等を担当。
その後に都内より湘南へ移住。
移住後は、会社員時代に取得した自然療法の資格を活かし、ナチュロパスとしての講師業やイベント運営を行う。
主に、生活習慣病予防士、食育インストラクターとしての活動が中心。
現在は、「愛ある食卓」として有機栽培を中心とした近隣地域の野菜や全国の無添加無化学調味料の販売や、食事提供や手配、イベント運営などを行っている。

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